むかしの話

昔mixiで書いてた話の再掲が中心

⑦リンダリンダの夜明け

昔のブログを加筆修正して載せます。

リンダリンダの夜明け」

【2008年2月29日 記】

 

 

1998年ぐらいの6月ぐらいの話。

 

仕事が終わって2つ下の後輩社員1名、

2つ下のアルバイト1名、

そして、4つ下のアルバイト3名、

計6名ぐらいでカラオケに行った。

 

みんな仲が良くて、

月に1~2回ぐらいのペースで

仕事帰りにカラオケに行っていた。

 

 

宴もたけなわになってきた頃、

私は「一休さん」を唄った。

あのとんちんかんちんな歌だ。

 

いつも通り、盛り上がった。

 

続いて、

誰かがブルーハーツの「リンダリンダ」を入れた。

 

この曲も盛り上がる曲の定番だ。

 

前後の流れからして盛り上がらないワケがない。

 

一休さん」直後の私も、

気分絶好調の状態でイントロを迎えた。


サビの部分に入れば、場内のムードは最好調。

 

まだみんな20代。

甲本ヒロトのように飛び跳ねたり、

壁を蹴ったり、イスを倒したり。

2階の一番奥の部屋は無法地帯と化した。

 

 

ここのカラオケBOXは雑居ビルの

3フロアぐらいを使っての営業。

元々は違う用途で使っていたところを

カラオケBOXに改装したらしく、

新しくカラオケBOXにするために、

部屋ごとに壁で仕切ったり、

壁側の部屋とかは窓から音が漏れないように

厚さ10~20cmぐらいの防音材で

窓側一面を塞いでいたりしていた。

(それはあとからわかったことだが…)

 

 

そして、事件はおきた。


私はいつものリンダリンダの時のように

壁を蹴飛ばしていた。

 

人間のキック力などでは

当然ビクともしない。

 

 

普通なら。

 

 

ところが、

 

右足が、

 

壁にすっぽりとハマった。

 


時刻はすでに明け方5時過ぎ。


明るい光が差し込んできた。

 

朝日だ。

 

そこは、窓だった。

 


運悪く窓の上を塞いでいた所を蹴ってしまったようだ。

 


全員、

時間が止まった。

 


残り時間30分ぐらい残っていたが、


もうリンダリンダどころではない。


いや、もはやカラオケどころではない。

 


「壁をぶち抜いたのは私です!」



でも、

 

とっさにみんな考えた。

 

とりあえず、

「穴を隠そう!」

 


バカな発想だ。

みんな若い。


何か隠すものはないかと、

室内を物色し始めた。


誰かが、

「店長のおすすめメニュー」

という、ポスターを指差した。

 

「これで隠そう!」

 

 

さすが俺の後輩たち。


でも何か違和感を感じる。


普段はソファの上、

頭の高さぐらいの位置の

「店長のおすすめメニュー」が、

何でもないところの壁の、

腰ぐらいの高さの位置に

何故か貼ってある。

 

「OK!OK!」

 


一同何も無かったかのように退室。

そして、フロントで精算を済ませた。

 


バレるわけがない。

自信満々だった。

 


当然、

バレた。



後輩は受付の時に正直に電話番号を書いていたので、

その日のうちに、お店から電話が掛かってきた。



(正直に電話番号を書いたヤツから)

「お店から電話が掛かってきたんですけど…」

 


「壁をぶち抜いたのは私です!」



素直に謝りに行くことした。

 

 

「壁をぶち抜いたのは私です!」

 

1人で全部払って弁償する覚悟をした。

 


「壁をぶち抜いたのは私です!」


だから誰にも頼らず、

1人でカラオケBOXに向かった。

 


カラオケBOXの店長は、

幸か不幸か店の常連様だった。


(私)「この度は申し訳ございませんでした。」

(店長)「あー、いつもお世話になってるよ。」

 

 

(知り合いだからいいよ、いいよ)みたいな、

何もかも免除みたいなコメントを期待した。

 


それは通用しなかった。



(店長)「とりあえず見積もり貰うから、

     またその時に来て。」

 

 


4万円だった。

 

 

「壁をぶち抜いたのは私です!」


もらったばかりのボーナスから

4万円が無条件で旅立っていった。


それからというもの、

カラオケBOXに行く時は、

以下の点に注意した。

 

・窓側の部屋かそうでないか。

・部屋の壁の材質は大丈夫か。

・壁を叩いて、向こう側は空洞でないか。

 

上記を確認してから、

騒ぐようにした。


(おいおい、蹴るのはやめねーのかよっ!)

 

みなさんもカラオケBOXで

バカ騒ぎする時は

十分に気を付けてほしい。

 

 

「壁をぶち抜いたのは私です!」